研究概要 |
現在までに、胃原発リンパ腫4例で腫瘍内浸潤Tリンパ球のTCRには、Vβ_2が共通に使われていることを明らかにした。本年度は、これら4例のTCRをクローニングし、VDJ結合について解析した。症例1からM13mp19コロニーが12個、症例4より5、症例7より6,症例9から9コロニーを得た。症例1では12コロニー中の6コロニーが、Vβ_2-D-Jβ_<2.7>の、症例9では9コロニー中の6コロニーがVβ_2-D-Jβ_<2.3>の構成をしめした。この2例では、浸潤Tリンパ球に特別のVDJ結合を持つクローンの存在が確実とされた。悪性リンパ腫に浸潤するTリンパ球のTCR Vs Usageについては、リンパ節原発、皮膚原発のリンパ腫についても検索を行った。リンパ節ではVβ_<4,5,6,7,11,12,20>など多くのVβファミリーが認められ、皮膚ではVβ_<2,15,16,20>など比較的少数のファミリーが増幅された。胃原発リンパ腫での成績と対比すると、各臓器原発リンパ腫に特徴的な浸潤Tリンパ球群が存在し、おそらく臓器特異的なTリンパ球分布を反映していると推論される。 リンパ上皮腫様胃癌にはEBウイルス・ゲノムが証明されていて、この癌に浸潤するTリンパ球は、EBウィルス関連抗原を認識する特異なサブセットの可能性があり、現在、そのVβ Usageを検索中である。
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