好酸球増多を特徴とするヒト疾患における好酸球反応において遊走性リンホカイン(LK)は重要なメディエタ-を予想された。すなわち、過好酸球症候群患者の末梢血Tリンパ球は何等刺激なしに分子量5ー7万の遊走性LKを産生、また寄生虫感染症患者のTリンパ球は抗原やマイトジェンの刺激によって分子量5ー7万の遊走性LKを産生する。これらのLKの産生にはマクロファ-ジ由来の物質が重要な作用を示す。すなわち、過好酸球症候群患者の血液単球培養上清は正常T細胞を刺激し、遊走性LKの産生を誘導する。また、寄生虫感染症の末梢血単球培養上清はそれのみでは遊走性LK産生を誘導しないが、マイトジェン刺激Tリンパ球に作用すると、選択的に好酸球遊走性LKの産生を増強する。上記のマクにファ-ジによる選択的な遊走性LK産生の調節機構をより明らかにするためにLPSを用いたIn V tro実験を確立し、解析を進めると、ツベルクリン反応陽性患者の末梢単核球をPPDで刺激すると、マクロファ-ジ遊走活性を著明に産生するが、好酸球遊走活性は、産生しない。しかしながら単核球を種々のLPSで刺激するとあるLPSで刺激された単核球は好酸球遊走性LKを産生したり、ともに強く産生されるなどLKの産生は質的に調節される。この質的調節はLPS刺激血液単球培養上清によっても再現される。両遊走性LK産生を共に増強するLPSで単球を刺激して得られた培養上清をゲルろ過すると分子量約1ー2万の分画に遊走性LK産生増強活性がみられた。さらに、等電点電気泳動法で分画すると、好酸球遊走性LK産生増強活性はPI4.0〜5.0に、マクロファ-ジ遊走性LK産生増強は、PI5.0ー6.0と7.0ー8.0の分画に集中していた。また、この増強活性は血液単球のみでなく、マクロファ-ジ株、HLー60やUー937も同様の刺激で、産生された。現在この物質の物理化学的、生物学的解析を進めている。
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