研究課題/領域番号 |
02670165
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
新村 宗敏 千葉大学, 医学部, 助教授 (60059095)
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研究分担者 |
畑 英一 千葉大学, 医学部, 助手 (00110304)
小林 仁 千葉大学, 医学部, 助手 (80009654)
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キーワード | 旋毛虫 / αースチコソ-ム / モノクロ-ナル抗体 / 抗原 / 免疫診断 |
研究概要 |
1.旋毛虫感染幼虫のαースチコソ-ムに局在する抗原と特異的に反応するモノクロ-ナル抗体産生融合細胞株をマウスの腹腔に移入して得た腹水より、イオン交換(Mono Qカラム)およびゲル瀘過(Superoseカラム)を用いた高速液体クロマトグラフィ-により、産生抗体の必要量を分離・精製することができた。 2.精製モノクロ-ナル抗体をリガンドとしたアフィニティクロマトラフィ-で、スチコソ-ムの可溶性分画より本抗体が認識する抗原の分離を試み、Western Blot解析の結果160kDa分子(Tsーα160)の抗原蛋白を分離・精製することができた。 3.Tsーα160の免疫診断用抗原としての特異性の有無を本線虫幼虫粗抗原を対照として、すでに旋毛虫症と診断されている何れも感染35日以降の患者血清(13名)についてELISA法でその抗体価を比較検討したところ、Tsーα160抗原は粗抗原より何れも高いOD値を示し、他の寄生虫症患者とも交叉反応が見られなかったことから、本症の特異診断用抗原となり得る大きな可能性が示唆された。さらに蛍光抗体法によってTsーα160は成虫および幼若虫のαースチコソ-ムには存在せず、感染後3週以降の組織内幼虫に見られること、また実験的旋毛虫症(マウス)の血中の抗体価は感染後6週頃より極度の上昇が見られたことから、本抗原は感染6週以降の診断用抗原として有用であることが明らかにされた。 4.Tsーα160抗原は蛍光抗体法による分析結果、本感染幼虫の分泌顆粒に存在し、レクチン染色によりアスパラギン結合型糖鎖構造をもつ糖蛋白であり、また100℃、5分の加熱により抗原性の低下が見られ、熱には不安定な蛋白であるなどの諸性質が明らかにされた。
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