研究概要 |
1.Tsーα160抗原の解析:蛍光抗体法により明らかにされた旋毛虫特異的モノクロ-ナルIgG_1抗体(MoAbーIgG_1)の認識するTsーα160抗原は、さらに共焦点レ-ザ-蛍光顕微鏡解析によりαースチコサイトの分泌顆粒中に存在し、本感染幼虫の飼養液中からWesternblot解析により検出されたことからEーS抗原であることが明らかにされた。またこの抗原蛋白はプロティア-ゼ活性を持つことから生理活性物質の可能性が示唆された。 2.モノクロ-ナル抗体産生融合細胞株の選別:Tsー32D12株以外のTsー24E10,Tsー24D5株より産生されるモノクロ-ナル抗体は蛍光抗体法による解析の結果、本線虫感染幼虫のαおよびβスチコソ-ムとクチクラ層に反応するIgG_<2a>タイプでありTsー23C6,Tsー23G2株では非特異的反応性を示すモノクロ-ナルIgG_1タイプであった。 3.MoAbーIgG_1およびTsーα160抗原の防御免疫能(passiveおよびactive immunization)はいずれもみられなかった。 4.Tsーα160はEーS抗原であったことから、MoAbーIgG_1と化学複合体による駆虫の試みは困難となってきた。しかし植物由来のbenzoquinone誘導体が成虫および感染幼虫に対しLC_<50>=60μg/ml(at 24hr)の毒性を示し、治療剤開発の手がかりが得られている。
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