研究概要 |
アニサキス症の免疫診断における特異性の高い抗原を遺伝子組換え法で採取すべく検討をすすめてきた。前年度になされた研究から、アニサキスI型3期幼虫由来mRNAのin vitro翻訳産物中に42KDの特異性の高い抗原蛋白が合成されている事が明らかになったので、mRNAからcDNAを合成後、作成したλgtll cDNA expressionlibraryからアニサキス感染人血清を用いてpositive cloneをスクリ-ニングした。この中からepitopeselection法で42KD抗原蛋白をコ-ドしているcDNA cloneを単離した。そしてこのcDNAの全塩基配列を決定した。得られたcDNAは全長1,030bpで284のアミノ酸残基からなるポリペプチドをコ-ドしていた。SouthernおよびNorthern blottingの結果から、この抗原遺伝子は約1,400nucleotideのmRNAとして転写され、42KDの抗原蛋白として翻訳され、アニサキス体内では40KDの抗原活性をもつ分子として存在していた。また、発現された抗原蛋白は他の寄生虫感染血清とは交叉反応性を示さなかった。この組換え抗原を用いてELISAによりアニサキス症の免疫診断について検討した。まず、recombinant DNAをもつλ phageをE.coliに感染増殖させた後βーgalーcDNA fusion蛋白(FP)の発現をIPTGで誘導した。このEPをふくんだE.coli lysateを用いた際の反応の感度および特異性を従来の抗原と比較し特異性がはるかに高いことを明らかにした。
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