研究概要 |
まず,トリパノソ-マガンビエンス(Tg)ウェルカム株の血流型を用いて ^<14>Cーマンノ-スの細胞内取り込みを計測する条件設定を試みた。U底96穴のマイクロプレ-ト1窪み当たり2×10^6個の原虫, ^<14>Cーマンノ-ス1μCi(270mCi/mmol)とし総容量0.2mlにする。インキュベ-ト後ハ-ベスタ-を用いて濾紙上に原虫を保持するわけであるが,ポアサイズの小さいのが必ずしも好いわけでなく,保持率の良い濾紙はアドバンテックGHー140であることが判明した。マンノ-スとグルコ-スが競合することが知られているので,マンノ-スの取り込みを計測するにあったてグルコ-スを含まないメディウムを用いるのが妥当であるが,血流型は非常な速い速度でグルコ-スを代謝してエネルギ-を得ているのでグルコ-ス(ー)のメディウムは生理的でない。そこで種々試した結果グリセロ-ルを加えると,グルコ-スの代わりにエネルギ-源となりえてしかもマンノ-スと競合しないことが判明した。また,この検討中,グルコ-ス(ー)燐酸援衝生塩水(PBSG(ー))中で37℃にインキュベ-トした場合,20分後血流型の運動が不活発になり,30分後には停止することが判り,さらに,この時点でグルコ-スを添加すると再開するのを認めた。グリセロ-ルもグルコ-スと同程度に回復させるが,マンノ-スは運動を再開させるけれどもその度合いにおいて前二者には劣った。ガラクト-スについては,これまでトリパノソ-マにより取り込まれる報告があり,我々の実験でもマンノ-スと異なりグルコ-ス存在下でトリパノソ-マの増殖を抑えなかったので,この糖もグルコ-スと同様解糖系にはいり代謝されると思われたが,PBSG(ー)に添加しても血流型の回復に無効であったので,取り込まれはするが,エネルギ-源とはなりえないことが明らかにできた。以上の結果はTg感染マウス血液からの血流型および培養系で継代した血流型いずれについても同様であった。
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