研究概要 |
Paecilomyces lilacinusの昆虫および土壌由来さらには、臨床分離株について、ペシロトキシンの生産性を調べた結果、その殆どの株でトキシンの生産が確認され、本トキシンの感染における重要性がさらに強く示唆された。そこで、Paecilomycesの他の菌種における本トキシンの生産性を、P.carneus(5株),P.elegans(4株),P.farcinosus(5株),P.fumosoーroseus(2株),P.inflatus(1株),P.isarioides(1株),P.javanicus(1株),P.marquandii(4株)およびP.variolii(4株)について、それぞれ検討した。その結果、P.javanicus IFO 8297において、トキシン様の物質の生産が抗微活性を指標とした検索で見られた。なお、そのトキシンの化学的性状検討のために、現在その抽出、精製作業を進めている。一方、すでにトキシンの生産の報告のあるP.marquandiiではいずれの株においても、トキシンの生産の確認はできなかった。またペシロトキシンに対する感受性を検討した結果、P.lilacinusは14株がすべて800μg/ml以上の耐性を示し、他の菌種ではP.marquandiiの4株のみが同程度の耐性を示した。この結果は、P.lilacinusとP.marquandiiの類縁性を示唆するものと思われる。そこでこれらPaecilomyces属の菌種間での類縁性をミトコンドリアDNAのレベルで明らかにするために、プロトプラストの作製を検討した結果、NovoZyme 234とKClバッファ-の組合せで収量よく、プロトプラストが得られることが明らかになり、現在、ミトコンドリアDNAを抽出して、各種制限酵素による切断パタ-ンを菌種間で比較を進めている。
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