研究概要 |
前年度の研究においてPaecilomyces javanicusおよびPaecilomyces marquandiiがペシロトキシンに対して1000μg/ml以上(MIC,minimum inhibitory concentration)の高度耐性を示すことが明らかになったことから、今年度は、これらの2菌種のペシロトキシンの生産性を検討した。その結果、用いた4株のP.marquandiiでは、培地成分や培養条件の検討にも関わらず、HPLCおよび生物学的なアッセイ法のいずれにおいても、トキシン生産は確認できなかった。一方、P.javanicusではペシロトキシンは検出できなかったが、その培養ろ液中に有機溶媒で抽出可能な抗微生物活性が観察された。これらの結果は前年度の結果と併せて、ペシロトキシンの生産はP.lilacinusに特異的な現象であることがより強く示唆された。P.javanicusの産生する活性物質については、その生産性が極めて悪いことから、現在、培養条件の検討を進め、その生産性について検討しているが、酢酸エチル等の有機溶媒での抽出が可能であることがなどが、明らかにされつつある。 P.lilacinusとP.maroqandiiのミトコンドリアのDNAの制限酵素の切断パタ-ンの比較においては、Hind IIIおよびEcoRIでの切断で両菌種間に明かな違いがあることを見いだし、さらに詳細な研究を継続している。 新たに土壌から分離したP.lilacinusの研究から、本菌種が2つのグル-プに細分されることを明らかにすることができた。このグル-ピングのもととなる黄色色素について抽出精製を進め、菊花状の結晶(XMーY2)として得ることができた。現在、XMーY2については、その構造研究を行っているが、本物質は強い抗真菌および抗細菌活性を有していることが観察されている。
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