研究概要 |
昨年度までの研究で,ESRスピントラップ法,deoxyribose分解産物の比色定量法,DNAの80H-deoxyguanine生成反応等の検出方法を用いた限り,刺激を受けた好中球もマクロファージも産生するのはO^-_2のみで^゚OHの生成は認められなかった。^゚OHは反応性が高く生成された局所に存在する各種の化学物質とすみやかに反応することが知られており,食細胞のO^-_2産生部位でO^-_2が^゚OHに変換された場合,その局所にある蛋白質の構成アミノ酸と反応するために,上記の各方法では^°OHの生成が検出出来なかった可能性が残されている。文献によれば,蛋白性食品に光照射を行った場合に生成される^゚OHは蛋白質を構成するアミノ酸のうちphemylalanineやP-tyrosine等のベンゼン環を有するアミノ酸を水酸化し、それぞれo-1 m-1 P-tyrosineや3,4-ditrydsoxyphemylalanine等のアミノ酸を生成することが報告されている。そこで今年度は,この方法を用いて刺激をうけた好中球に於いてO^-_2から^゚OHが産生されるか否かを確かめた。新鮮な豚血液から単離した好中球をHBSS溶液に懸濁しPMAあるいはopsonized Zymosanで刺激した。酸素電極法により酸素消費量を測定して好中球がO^-_2を産生していることを確かめた後細胞懸濁液を採取し遠心分離により好中球を集め,そのまゝ、あるいはSonicateして後遠心して膜分画とした後6N-Hcl懸濁液とし,110℃20時間加熱し加水分解を行った。これらの試料についてアミノ酸分析を行い刺激した細胞から得た試料中でtyrosineの水酸化体が増量しているか否かを無刺激細胞の試料中のアミノ酸含量と比較定量して調べた。結果はいずれもnegativeで,好中球が刺激をうけてO^-_2を産生している状態でも細胞構成蛋白質のアミノ酸残基の周辺で^゚OHが生成されているという証拠は得られなかった。
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