研究概要 |
1.組換えDNA選別と酵素遺伝子の大腸菌での発現 Carboxynorspermidine decarboxylase(CANS DC)及びLー2,4ーdiaminobutyrate decarboxylase(DABADC)に対する抗体を調製し,ライブラリ-よりイムノスクリ-ニングによって陽性クロ-ンを選別した。CANS DCについては16個の陽性クロ-ンのうち1個(pCDC14)にV.alginolyticusの粗抽出液の約3倍の比活性が認められた。一方,DABA DCについては10万コロニ-以上をスクリ-ニングし,57個の陽性クロ-ンを得たが,いずれにも酵素活性は認められなかった。本酵素はサブユニットが11万の4量体で,しかもNー末端アミノ酸がSerであることなどの理由から,酵素活性の発現には何らかの障害があると考えられた。 2.CANS DC遺伝子(nspC)のマッピングとサブクロ-ニング 本遺伝子は約4kbpのDNA断片中に存在し,PvuII,EcoRI,SalI,SacI,HincIIの切断個所が1個ずつ存在していた。SalI断片をpUC18に逆位に挿入しても、酵素活性の変化は認められず,プロモ-タ-領域もクロ-ニングされていることが明らかとなった。数種の欠失プラスミドを作成し,酵素活性を測定したところ,EcoRIで切り出される最小断片2Kbp(pcDC14ー1)にnspCが存在することが判明した。 3.nspCの塩基及びアミノ酸配列の決定と解析 pCDC14ー1よりnested欠失プラスミドを作成し,特にpromoter及びterminator領域を重点的にシ-ケンスした。その結果,既に決定したMetから始まる20種のアミノ酸配列に対応する塩基配列が同定できた。また,ー35,ー10のプロモ-タ-領域及びSD配列が認められた。一方,3'ー領域の妥当な部分にTAA terminationコドンとpー非依存在のterminator領域が同定された。以上の結果は,nspCの全領域がクロ-ニングされたことを示している。 4.DABA DCの他細菌における分布 Acinetobacte calcoaceticusよりDA BA DCを精製し,V.alginolyticus DABA DCとNー末端アミノ酸配列,抗原性などを比較し,興味深い差異を明らかにした。
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