研究課題/領域番号 |
02670194
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
新居 志郎 岡山大学, 医学部, 教授 (40029757)
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研究分担者 |
吉田 まり子 岡山大学, 医学部, 助手 (20144743)
山田 雅夫 岡山大学, 医学部, 講師 (40166731)
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キーワード | 単純ヘルペスウイルス / 赤血球吸着 / hemadsorption / Fcレセプタ- / ヒトヘルペスウイルス6 / テグメント / 糖蛋白 |
研究概要 |
1.単純ヘルペスウイルス(HSV)感染細胞の表面膜に発現するFcレセプタ-(FcR)によって、感作ヒッジ赤血球が吸着(HAD)する現象について、昨年度の研究を継続した。とくにHAD陽性FL細胞のin situ固定標本を作製し、超薄切片法による観察を併行実施した。赤血球表面膜と接する部位の微細構造について検討した結果、細胞表面膜、microvilliならびにHSV粒子のエンベロ-プがこれに接着しており、これらの三者の表面のいずれにもFcRの発現のあることが推定された。走査電顕観察では、HAD現象の三次元構築に関するmicrovilliの関与の重要性を再確認した。 2.ヒトヘルペスウイルス6(HHVー6)感染細胞における膜系とウイルス粒子との相互関係、とくに細胞内輪送機構を一層明確にするために、HHVー6感染細胞の超薄切片観察を継続し、以下の結果を得た。(1)細胞外のすべてのビリオンと、ほぼすべての細胞質内粒子は、明瞭なテグメント(tegument)構造を保有するが、核内粒子はこの構造を保有しない。したがって、HHVー6のテグメント獲得部位は、細胞質部と考えられる。すなわち、核から細胞質に出た裸粒子が直ちにテグメントを獲得し、細胞質内の空胞膜部でエンベロ-プを被り、逆貪食過程で細胞外に放出される構機が確実視されるに至った。(2)核内テグモソ-ムと呼ばれる領域で、テグメントを獲得するという学説があるが、この領域は細胞質部の核内への陥入した構造であり、上記(1)と本質的に同義であることが明らかとなった。(3)フ"コソ-ム内に存在するビリオンでは、テグメント構造が修飾を受けていることを示す興味ある知見が得られた。 3.HSVー1の一段増殖実験下で、感染細胞におけるウイルス糖蛋白の出現動態について検討した。その結果、深山・-GCr株と+GC(LPV)株感染では、gB,gD共に感染4時間後から出現し始め、他方gCについては-GCr株でのみ、稍遅れて6時間後より出現を観察した。
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