研究課題/領域番号 |
02670196
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
飛田 清毅 自治医科大学, 医学部, 教授 (00077174)
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研究分担者 |
小田切 孝人 自治医科大学, 医学部, 講師 (80177237)
田中 利典 自治医科大学, 医学部, 講師 (30146154)
田代 真人 自治医科大学, 医学部, 助教授 (90111343)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | インフルエンザB型ウイルス / NS遺伝子 / 塩基配列 / 欠落変異 / NS1蛋白 / 細胞破壊 |
研究概要 |
インフルエンザA及びB型ウイルスの交配によって、3株のB/山形の変異体を分離した。これらはいずれも、NS遺伝子に変異をもつもので、1個乃至13個の塩基の欠落によるフレ-ム・シフトのために、NS1蛋白のC端側を大幅に欠いている。合成されるNS1蛋白は、アミノ酸数にして僅か127乃至90で、野性型のそれが281であるのを考慮すると、極めて短い。これらの変異体を利用して未だ明らかにされるに至っていないインフルエンザウイルスのNS遺伝子の機能をより一層明確に捉えるために、クロ-ン201の変異NS遺伝子のみを他の野性型B/Leeに移したリアソ-タント(201Lー77)と、野性型B/山形のNS遺伝子のみをB/Leeに移したコントロ-ル・リアソ-タント(YLー20)を作成、これらの諸性状を比較検討することを試みた。感染初期に高度の細胞破壊を来たすという、一連の変異体に共通する性状は、201Lー77では顕著であったが、YLー20ではこれは認められなかった。高度の細胞破壊がNS1蛋白のC端の欠損によることは明らかである。感染細胞内のウイルス蛋白合成の動態には201Lー77とYLー20の間に差はなく、NS遺伝子のウイルス蛋白合成への関与はないものと考えられる。一方、B/Lee感関MDCK細胞から抽出したmRNAとのハイブリダイゼ-ションによって、ウイルスのvRNAを定量したところ、YLー20では、合成量は感染5時間で最高値に達し、以後漸減するのに対し、変異NS遺伝子をもつ201Lー77では、低いレベルで感染後期まで合成が続いていた。NS遺伝子は、vRNAの合成には深く係っているものと思われる。別のNS遺伝子の変異株AWBYー234を調べてみると、ウイルス粒子内には通常のウイルス・ゲノム以外に、長さの短いRNAが多数含まれていた。しかも、この変異体では多重感染による活性化が成立する。このことは、NS遺伝子の欠損はRNA鎖の完全な伸長を阻害することを示している。
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