研究概要 |
1)アロ抗原特異的CTLクロ-ンを用いたクラスI抗原の認識 HLAーB35とHLAーB51遺伝子間で作製したキメラ遺伝子を使った研究より、HLAーB35特異的CTLの認識に、HLAーB35のα3ドメインのαヘリックスおよびβシ-ト上のアミノ酸の置換が影響を与えることを昨年度明らかにした。本年度は、HLAーB35抗原のsingle amino acid mutantを作製して解析した。その結果、T細胞クロ-ンによってアロ抗原の認識に影響をうけるアミノ酸残基の部位はそれぞれのT細胞クロ-ンで異なっていることが明らかになった。このことは、1つのHLAクラスI抗原に対するアロ抗原反応性T細胞は単一でなく、レパ-トリ-が大きいことを意味している。おそらく内因性の様々なペプチドがアロ抗原認識に関与していると考えられた。 2)T細胞クロ-ンを用いたヒトマイナ-組織適合抗原の認識 HLAーB35に拘束するヒトマイナ-組織適合抗原特異的T細胞の認識に、HLAーB35抗原のsingle amino acid mutanがどのように影響を与えるかを調べた。アミノ酸残基95,116,152および171の置換によってこのT細胞のマイナ-組織適合抗原の認識が障害をうけた。これらのアミノ酸残基はすべてペプチド結合部位であることから、T細胞はペプチドの形でこの抗原を認識していると考えられた。このことを証明するために酸処理法により、HLAーB35抗原に結合しているペプチドをHPLCを使って分離することを試みた。ドナ-由来のB細胞株より、HPLCで分離した分画に、T細胞が認識するペプチドを分離することができた。
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