MHCクラスIII補体遺伝子のホルモンによる発現調節機構の分子生物学的解析

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02670200
• 研究機関: 金沢大学
• 研究代表者: 野中 勝 金沢大学, がん研究所, 助手 (40115259)
• キーワード: 補体 / 発現調節 / 性ホルモン / 分子生物学

研究概要

成長ホルモン欠損のリトル・マウスでは、雌雄共にSlpの発現が認められなかったが、ヒト成長ホルモンを12時間おきに3日間パルス投与したところ、小量ながらSlpの発現が検出され、Slpのテストステロンによる誘導は間に成長ホルモンを介していることが示唆された。又、構成的に発現するとC4と、ホルモン依存的に発現するSlpとの発現様式の違いを規定する領域のマッピングを行うために両者のプロモ-タ-領域を転写開始点から上流1kbの範囲でCATアッセイにより比較した。HepG2細胞を用いアツセイしたところ、1kbの断片を含むものではC4では高い活性が認められたが、Slpでは極しく低い活性しか検出されなかった。5'側を順次削除してゆくと、C4ではー200bp付近まで殆ど変化が認められなかったが、Slpではー700bp付近まで削るとC4同様の高い活性を示す様になった。したがってSlpの1kb断片に活性がないのはー700bp付近に存在する負の制御領域によることが示唆された。Slpのこの部分のDNA断片をプロ-ブとしてHepG2核抽出物によるゲルシフト・アッセイを行なったが、現在までのことろ特異的な結合は検出されていない。今後、通常ストレインのマウス、Slpを構成的に発現するFM系のマウスの雌雄の肝核抽出物を用いてこの領域への特異的結合タンパクの存在を更に検討し、結合因子が検出された場合はその因子のクロ-ニングを目指したい。

研究成果

• [文献書誌] S.NatsuumeーSakai: "Demonstration of an unusual allelic variation of mouse factor H by the complete cDNA sequence of the H.2 allotype" J.Immunol.144. 358-362 (1990)
• [文献書誌] Nakayama,K: "Postーtranscriptional regulation of complement C4 in low C4ーproducing strain of mouse" Immunogenetics. 31. 361-367 (1990)
• [文献書誌] Ishikawa,N: "Murine complement C2 and factor B genomic and cDNA cloning reveals different mechanisms for multiple transcripts of C2 and B" J.Biol.Chem.265. 19040-19046 (1990)
• [文献書誌] Pattanakitsakul,S: "Three extra copies of a C4ーrelated gene in Hー2w7 mice are C4/Slp hybrid genes generated by multiple recombinational events" Immunogenetics. 32. 431-439 (1990)
• [文献書誌] Nonaka,M: "Interleukinー1ーmediated enhancement of mouse factor B gene expression via NFkBーlike hepatoma nuclear factor" Mol.Cell.Biol.10. 6283-6289 (1990)
• [文献書誌] Huang,Z: "Differential expression of the five C4ーrelated qenes of Hー2w7 mice" Immunogenetics. (1991)