同種反応性γδ型T細胞の機能についてC3H TLトランスジェニックマウスを用いて検討した。このマウス末梢リンパ組織内では生後3ヶ月頃からγδT細胞が増加し、6ヶ月以降にはγδ型T細胞白血病の発生が認められる。実験には、まだγδT細胞の増加を認めない6〜8週令のマウスを使用した。まず、C3H TLトランスジェニックマウス脾細胞中のγδT細胞が機能的に正常であるか否かを増殖反応により検討した。その結果、ILー2による刺激、また抗CD3あるいは抗δモノクロナ-ル抗体による刺激によりγδT細胞が増殖することを ^3HーTdRの取り込みおよびFACSによる解析で明らかにした。次に、γδT細胞の同種反応性について検討するため、C3H TLトランスジェニックマウスにBALB/c皮膚を移植し、この後にMLC反応を行い、増殖するT細胞をFACSにより解析した。この結果、同種皮膚反応による感作で、γδT細胞は著しく増加することがわかった。さらに、γδT細胞増殖反応における特異性について検討した。トランスジェニックマウスにB6皮膚を移植し、拒絶後、B6およびBALB/c脾臓細胞を刺激細胞としてMLC反応を行ったところ、いずれの場合にもγδT細胞が増殖した。同種皮膚を移植する際に、トランスジェニックマウスにあらかじめTCRβ抗体を投与してαβT細胞を抑制しておくとγδT細胞の増殖がおこらなかった。これらの実験事実は、C3H TLトランスジェニックマウスでは、γδT細胞がαβT細胞の非特異的活性化を基に増殖反応を起こすことを示唆している。
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