インタ-ロイキン4によるヒトT細胞・マクロファ-ジ機能の調節機構の解析

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02670211
• 研究機関: 広島大学
• 研究代表者: 山下 優毅 広島大学, 医学部, 教授 (00028680)
• 研究分担者: 西野 秀明 産業医科大学, 医学部, 助手 (40198487)
• キーワード: IL4 / マクロファ-ジ / IL1 / Fcリセプタ- / 骨吸収

研究概要

マクロファ-ジ系細胞の増殖・分化に対するインタ-ロイキン4(IL4)の作用を解析し、以下の結果を得た。
(1)ヒト末梢血球をin vitroで培養し、リポポリサッカライド(LPS)で刺激するとIL1および腫瘍壊死因子(TNF)の産生が誘導されたが、ここにリコンビナントIL4を加えると、IL1およびTNF産生が濃度依存性に抑制された。
(2)IL4は単球の増殖反応、主要組織適合性抗原遺伝子複合体(MHC)クラスII抗原の発現に対しては促進的に作用した。
(3)IL4の作用を単球系細胞株を用いてさらに検討した。すなわち、M1細胞(マウス)、HL60細胞(ヒト)をin vitroで培養する際に、LPS、IL1、TNFを添加するとマクロファ-ジに分化して、Fcリセプタ-(R)の発現および貧食能が誘導されたが、ここにIL4を添加すると、FcRの発現、貧食能とも抑制された。
(4)さらに、M1細胞、HL60細胞は、LPS、IL1、TNFの添加により増殖能が抑制されたが、IL4は増殖能には促進的に作用した。
(5) ^<45>Caをとりこませたマウス胎児の骨をin vitroで培養し、IL1で刺激すると ^<45>Caの遊離が促進された(骨吸収活性)。しかしここにIL4を添加するとこの骨吸収活性も抑制された。
以上より、IL4はマクロファ-ジ系細胞の分裂、増殖に対しては促進的に、分化、機能発現に対しては抑制的に作用していることが明らかにされた。

研究成果

• [文献書誌] Nagata,K.,et al.: "Interleukin 1 autocrine growth system multiple myeloma" Japanses Journal of Clinical Oncology. 21. 22-29 (1991)
• [文献書誌] Yamashita,U.,et al.: "Suppressive activity of interleukin 4 on the induction of antigenspecific cytotoxic T cells in humans" Japanses Journal of Cancer Research. 82. 585-592 (1991)
• [文献書誌] Inamoto,Y.,et al.: "Effect of hyperbaric oxygenation on macrophage function mice" Biochemical and Biophysical Research Communocation. 179. 886-891 (1991)
• [文献書誌] Saito,K.,et al.: "Suppressive effect of hyperbaric oxygenation on immune responses of normal and autoimmune mice" Clinical and Experimental Immunology. 86. 437-442 (1991)
• [文献書誌] Kayama.F.,et al.: "Selective depletion of immature thymocytes by oral administration of ethylene glycol monomethyl ether" International Journal of Immunopharmacology. 13. 531-540 (1991)
• [文献書誌] Saito,K.,et al.: "BーB cell interactions in the sopntaneous activation of B cells in autoimmune NZB mice" Microbiology and Immunology. 35. 741-753 (1991)
• [文献書誌] Yamashita,U.: "Mediators involved in accessoty functions in“Tmmune System Accessory cells" CRC Press Inc., (1992)