研究概要 |
1.塩素耐性Protomonas extorquensの環境中における分布: ビル等のタンク水および河川・湖水等の自然環境について、また病院内環境として給水栓末端および空気環境よりP_1extorquensの分離を行った。その結果、ビル等のタンク水よりは70%以上の検出率であったが、河川や湖沼からのP・extorquensの分離率は低く、抵抗性株はほとんど検出されなかった。院内給水栓よりの本菌の分離率は、一般のビルタンク水と同様に70%以上であった。本菌は特徴的にメタノ-ル資化性であった。また,薬剤感受性試験の結果、ユリスチン・ナリジキシン酸等に抵抗性を示す結果が得られた。 2.塩素感受性株の抵抗性への変異に関する研究: 1で述べたように、自然界からの分離株は、タンク水由来と比較すると塩素感受性であったため、タンク水中で連続培養し、断続的に塩素と接触させた。その結果、45日間の培養後、抵抗性の非常に強い株が分離され、この抵抗性は不可逆的であった。一度獲得した形質は長期間維持されることが判明した。なお形態学的には外壁に変化が観察された。 3.本塩素抵抗性株の病原性について: タンク水および連続塩素曝露実験よりの分離抵抗性株について培養上清のマウス(コニベ)に対する毒性を調べたが、強い急性毒性は見出されなかった。しかしながら本邦においても感染症報告例が初めて発表されており、日和見病原菌としてさらに詳細に検討することとした。 4.菌種名について: 本菌種名は、当初申請時には一属一種Protomosas extorquensとされていたが、現在Methylobacteriumとすることが勧められており両名称が使用されている。今後さらに分類学上の位置について検討するべく、新たな分離より着手している。
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