1.塩素抵抗性Protomonas extorquensにおける塩素感受性株と抵抗性獲得変異株の性状比較と耐性機構の解明について 飲料用タンク水から高頻度に分離されたP.extorquensの塩素抵抗性機構を明らかにするための基礎的研究の一環として、感受性株(Pー0株)と抵抗性株(Pー45株)について種々の性状比較を行った。まず、Massレベルでの形態学的比較としてのフロ-サイトメトリ-による観察では、2次元サイトグラムによれば、両者に顕著な差異は認められなかった。次に、超薄切片による電子顕微鏡的観察の結果、抵抗性株の細胞膜、特に外膜が肥厚し、強固になっていることが明かとなり、これが抵抗性の相違に関係しているのではないかと考えられた。この差異がプラスミドによるかどうかとの観点から、両株よりプラスミドの抽出を試みたが、いずれもプラスミドが検出されず、染色体DNA支配によるものでないかと考えられた。今後、さらに遺伝学的検討や細胞生物学的検討を行う予定である。 2.P.extorquensの筑波研究学園都市における分布(都市化との関連)について、 P.extorquensは大都市のビルやタンク水における水道法の基準をクリアしながら分離される貧栄養細菌であるが、今回、山林、原野からの創設で15年を経過した筑波研究学園都市における本菌の分布を調べた。その結果、自然環境下の地下水、河川水および池水からは検出されなかったが、水道水ではタンク水、直結水それぞれ78.9%、64.3%と高率の検出率であった。プ-ル水においてさえ4/10試料より検出され塩素抵抗性の強さを知った。このように、わずかの年月の都市化で、全地域の水道水に塩素抵抗性の本菌が定着したものと思われる。 3.本菌の病原性試験のついては、引きつづき、実験動物により継続実験中である。
|