農薬に起因する光アレルギ-性皮膚障害の評価を、症例解析および動物実験により検討し、以下のごとき知見を得た。 1.農薬に起因する皮膚障害の症例の解析:農薬による皮膚障害罹患症例889名のうち、光線過敏症が疑われたのは19症例(2.1%)(♂14、♀5)で、原因農薬は多岐にわたるが、有機燐殺虫剤、硫黄殺菌剤がやや多いようである。 2.農薬による光アレルギ-性皮膚障害の発症の評価に関する実験的研究:(1)laserーDoppler法による反応の評価:光アレルギ-性試験の反応を同法で若干の農薬について検討したところ、視覚的判定とはやや異なり、血流量でみると、Captanは高濃度誘発群の24時間値の判定で、またPNCBはいずれの濃度においても紫外線非照射群の成績に比べ照射群の成績が有意に高い値を示し、同法の有用性がうかがわれた。(2)StripーAdjuvant法による農薬の光線過敏症の評価:症例解析や文献等の成績から起因性が疑われたDDVP、フェニトロチオン、メソミル、サリチオン、キャプタホル、キャプタン、クロロタロニル、ジチアノン、マンネブ、PNCB、ポリカ-バメ-ト、ジネブ、ベンチオカルブ、パラコ-ト、トリアジンの15種の農薬について検討したところ、DDVP、クロロタロニルが中等度、PNCBが軽度に光アレルギ-性反応の発症がうかがわれた。
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