研究課題/領域番号 |
02670230
|
研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
文多 隆文 金沢医科大学, 医学部, 講師 (60097441)
|
研究分担者 |
釣谷 伊希子 金沢医科大学, 医学部, 助手 (30159040)
城戸 照彦 千葉大学, 医学部, 助教授 (20167373)
|
キーワード | 環境カドミウム暴露 / 人臓器 / 微量元素 / 相互影響 |
研究概要 |
今年度は、(1)Cd汚染地住民及び非汚染地住民からの剖検による諸臓器収集、(2)諸元素の分析、(3)性、年齢、居住地(汚染)別の基礎統計学的検討を目標とした。以下にその概要を述べる。(1):Cd汚染地住民は、イタイイタイ病患者(認定及び要観察者)76(男7、女69)例、その他5(男2.女3)例の計81例で、60才代の女5例以外は70才以上である。非汚染地住民は150(男95、女55)例で、70才以上は48(男30、女18)例である。(2):Se以外の元素については、肝166、腎皮164、腎髄163、膵59、甲状腺55、心臓63、筋肉57、大動脈56、肋骨62、延べ177例の分析が終了した。Seの分析例はまだ少ない。(3):Cd汚染者の性、年令別各臓器中各元素濃度の平均値を非汚染者と比較した。Mgは算術平均をその他は幾何平均を用いた。上述の例数の不揃いの為、70〜89才についての主な結果を以下に述べる。(1)腎臓以外の各臓器中Cd濃度は汚染者でどれも顕著な上昇を示した。特に女について示すと(単位はμg/g湿重量)、肝:汚染者(以下、汚)(N=38)63.6〓18、非汚染者(以下、非)(11)19.1〓1.6、膵:汚(27)46.3〓1.5、非(9)10.0〓2.2、甲状腺:汚(26)47.0〓2.1、非(9)10.2〓1.7、心臓:汚(29)0.93〓2.1、非(10)0.44〓2.3、筋肉:汚(26)8.13〓1.5、非(9)1.92〓2.0、大動脈:汚(28)3.03〓1.4、非(9)1.00〓1.9、肋骨:汚(30)1.99〓1.6、非(9)0.57〓1.8で全て統計学的に有意(P<0.01)であった。(2)腎皮中Cd.Zn.Cu.Seは女で統計学的に有意な低下を示したが、Caは上昇の傾向(女、汚(30)259〓1.6、非(15)190〓2.1μg/g湿重量、P=0.103)を示した。(3)Znは肝、膵、甲状腺で上昇の傾向がみられた。(4)Cuは肝、肋骨で顕著ではないが低下の傾向がみられた。(5)Caは女の筋肉と大動脈で統計学的に有意な低下が示された。(6)Mg、Seは腎臓以外統計学的に有意な変動はみられなかった。今後、更に分析数を多くし、統計学的に詳細な解析を行う予定である。
|