研究概要 |
ストレス負荷時の血圧応答,自律神経活動が朝夜で異なるかについて検討するため,正常血圧者5名について,同一日の朝9:00〜10:00,および21:00〜22:00の2つの時間帯で,標準化した方法によって,暗算負荷(3分間),Cold Face(1分間),Tilting(20゚,60゚,90゚各3分間)の負荷を加え,血圧,RーR間隔(心拍),心拍出量,カテコラミンを測定した. 1.各生理指標の反応は,負荷するストレスの種類によって異なり,おおむね以下の特徴を示した. 1)暗算負荷時には,アドレナリンは著名に増加,血圧,心拍の増加がみられ,心拍出量は軽度減少,ノルアドレナリンはほとんど変化がみられない.2)Cold Face時には,心拍の減少が特徴的で,血圧,カテコラミンの上昇もみられる.3)Tiltingでは,ノルアドレナリンが著名に増加し,20゚以上では心拍出量の減少と心拍の増加が顕著となる.血圧は軽度下降傾向である.アドレナリンも増加する. 2.こうした反応の昼夜での差異について検討し,以下の結果を得た. 1)Base Lineが,RーR間隔(心拍),カテコラミンレベルで異なっており,Circadian Rhythmを反映している可能性がある.2)Tiltingに対する反応性(ノルアドレナリンの上昇など)は,朝の方が悪く,心拍出量及び血圧の低下が大きくなりやすい.これは,Tilting負荷の際,Faintingを起こすものが朝の測定時にのみみられたことと符合する. 今後は,1)例数を増やす,2)深夜から早朝にかけての時間帯での測定を追加する,3)高血圧者について検討する,などを計画している.
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