研究課題/領域番号 |
02670238
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
黒田 研二 大阪大学, 医学部, 講師 (70144491)
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研究分担者 |
西垣 千春 大阪大学, 医学部, 助手 (40218144)
多田羅 浩三 大阪大学, 医学部, 教授 (20107022)
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キーワード | 要介護老人 / 在宅ケア / 施設ケア / 長期ケア / ケアニ-ズ |
研究概要 |
長期ケアが必要な高齢者が、特に在宅で療養を継続するさいの社会的ニ-ズを明らかにするために、大阪府のM市(人12万人)において、在宅の要介護老人群と、入院・入所している施設老人群の特性や生活の条件を調べた。在宅要介護老人(188人)、6カ月以上入院中の老人(61人)、特別養護老人ホ-ム入所者(72人)について、それぞれ調査を実施し、性、年齢、要介護となった原因疾患、日常生活動作、家族構成、住居の状況、医療保険の種類と生活保護の有無などの現状を把握し、これら3群の特性を比較した。ADLの障害を軽度、中等度、重度にわけると、入院群では重度の人の割合が、特養入所群では軽度の、在宅群では中等度の人の割合が、他の群より多かった。独居者は在宅群では3.7%と少なく、入院群では16%、特養入所群では39%だった。有配偶者が在宅群では3割を超えているのに、入院・入所群では1割程度と有意差がみられた。子供世代と同居している(していた)人は在宅群が76%と多いが、他の2群では少なかった。住居の状況では一戸建持家の割合が、在宅群76%、入院群64%、特養入所群29%であった。なお、要介護になった原因疾患では3群とも脳卒中が約3割を占めた。次に、在宅群と入院と特養をあわせた施設群とを分けている要因を判別分析によって検討した。両群を判別するのに有効であった変数は、標準化判別係数の大きい順に、配偶者の有無、子供との同居、持家か否か、ADL、年齢であった。また、入院群と特養入所群についての判別分析の結果では、両群を判別するのに有効であった変数は、標準化判別係数の大きい順に、持家か否か、性、同居家族の人数であった。以上の結果より、在宅での療養か病院や特養など施設での療養かという処遇形態を規定している要因として、まず家族構成すなわち要介護老人を身近に介護できる人がいるかどうかが最も重要な因子であり、つぎに住居が重要な因子であることが示された。
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