大阪府箕面市において在宅要介護老人188人、6か月以上入院中の老人61人、および特別養護老人ホーム入所者72人について調査を実施し、各群の特性と生活背景を比較するとともに、他変量解析(数量化II類)による分析を行い、入院、入所と関連する因子を検討した。 3群とも脳卒中が約3割を占めていた。ADLの分布では、在宅群では障害が中等度の人が多く、入院群では重度の人、入所群では軽度の人が多かった。在宅群と比べて、入院群、入所群では独居の人、配偶者がいない人の割合が高く、また、入所群では子供と同居していない人、住居が持家以外、が多かった。 病院の長期入院には、ADLの障害が重度であること、および独居であることが関連しており、在宅群と入院群の判別には「ADL」のほか「独居か否か」「子供との同居」「性別」「配偶者の有無」といった変数が関連していることが示された。 特別養護老人ホームへの入所には独居であること、および一戸建て持家以外、が関連しており、在宅群と入所群の判別には「住居の状況」「独居か否か」「子供との同居」「配偶者の有無」といった変数が関連していることが示された。 また同市において、1984年、1987年、1989年の6月の70歳以上の入院診療報酬明細書を分析対象とし、6月1日時点での70歳以上人口100人当たり入院受療率を算出すると、1984年3.56、1987年5.87、1989年5.72と増加傾向があった。 市町村の老人保健福祉計画の策定では、在宅で生活している老人だけでなく、入院、入所中の老人のニーズを考慮して、地域全体の社会的ニーズを把握する必要がある。
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