研究課題/領域番号 |
02670247
|
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
甲斐 一郎 帝京大学, 医学部, 講師 (30126023)
|
研究分担者 |
大井 玄 東京大学, 医学部, 教授 (70114410)
小林 廉毅 帝京大学, 医学部, 助手 (70178341)
|
キーワード | 農村 / 高齢者 / 生活の質(QOL) / モラ-ル / 生活満足度 / 主観的幸福感 / 日常生活動作(ADL) / 活動的平均余命 |
研究概要 |
集団の健康指標としては、従来、平均余命などが用いられてきた。しかし、高齢者が増加し、かつて主たる死因であった感染症が減少してくると、死亡にもとづく健康指標にも限界があることが明らかになった。特に高齢者においては、寿命の延長は健康で活動的な生命の延長のみを意味しない。多くの高齢者は何らかの慢性疾患をもち、しばしば、身体活動度や知的機能がおとろえた状態で、生長らえている。すでに、60歳以上の高齢者のコホ-ト調査を2年間実施しているが、本研究ではさらに追跡を継続し、高齢者の健康指標として、身体活動度および生活の張りを選び、その経年変化と保持についての関連要因の検討をおこなった。 平均余命にかわる新しい健康指標として、平均してあと何年間、健康で活動的な生活をすごすことができるか(「活動的平均余命」)を測定した。その結果、平均してみると、高齢者の余命のかなりの部分が身体活動度の低下した状態ですごされていることがわかった。また、当初、身体活動度の高かった者で、1年後に低下する者の特性を調査したところ、年齢が高いこと、仕事がないことが重要な要因であった。「活動的平均余命に男女差はなく、平均余命が女性で長いことを考慮すると、女性の高齢者のほうが男性と比較して、身体活動度が低下した状態ですごす期間が長いと考えられた。次に、主観的指標として、生活の張りと生活の満足度をえらび、その関連要因を検討した。前者については、身体活動度、仕事、趣味、性別(男性で高い)が、後者については、身体活動度、仕事、趣味、子供との同居、年齢(高齢で高い)が関連していた。生活の張りが1年間で低下する要因として、身体活動度低下、子供との別居、仕事の喪失があった。高齢者に対する今後の対策として、寝たきり老人をへらすなど身体活動度を保持すること、仕事、趣味など、生きがいに結びつくような活動をおこなうことが重要と考えられる。
|