研究概要 |
本研究では,第1に,既に報告のある遺伝子増幅用プライマ-を作製し,日本人集団における遺伝子頻度を求めた。第2に高多型性遺伝子領域を増幅させる数種のプライマ-を設計・製作し検討を行なった。 BoerwinkleらとLudwigらはヒトApo B遺伝子の3'末端領域に反復配列数の相違に基づく遺伝的多型が存在し,PCR法を用いてこの多型性を検出できることを報告している。我々はこれらの報告に基づきPCR用プライマ-を作製し,日本人集団(134名)における遺伝子頻度を求めた。その結果14種類の対立遺伝子が検出され,反復配列数41(遺伝子頻度0.52)を中心に一峰性に分布していた。BoerwinkleらおよびLudwigらは白人集団では二峰性の分布を示すことを報告しており,人種差が存在することが明らかとなった。異型接合度は0.682,排除率(Alleged father/Mother/Child)は0.478,probability of matching(2 random persons)は0.130であった。ここで得られた日本人集団における遺伝子頻度に関するデ-タは,個人識別・親子鑑定を行なうための基礎となるものである。またRichardsらの報告した第4染色体上の繰返し配列(YNZ32)を増幅させるプライマ-を作製し,日本人集団における多型性の検討を始めている。次に,ヒトinsulin遺伝子やヒトalpha globin遺伝子領域に存在する高多型性領域を特異的に増幅させる数種のプライマ-を新たに設計・合成して検討を行なっているが,現在のところ適切なプライマ-は得られていない。
|