研究概要 |
平成2年度に引続き,より多くの被験者(73名)の末梢血からDNAを抽出・精製し,アルデヒド脱水素酵素ALDH2アイソザイムの遺伝子型を調べた。これにより推定される遺伝子頻度は,活性型遺伝子(ALDH2^*1)が0.70,不活性型遺伝子(ALDH2^*2)が0.30であった.アルコ-ル経口投与実験も引き続き行ない各被験者のアルコ-ル感受性をみた.被験者の約半数はALDH2^*2遺伝子を有し,これら被験者のALDH2アイソザイムは活性が検出されず,また飲酒後顔面顔面の紅潮をきたした.同様に,アルコ-ル脱水素酵素βサブユニットの遺伝子型を調べた.遺伝子頻度はβ_1サブユニット遺伝子(ADH2^*1)が0.35,β_2サブユニット遺伝子(ADH2^*2)が0.65であった.なお,血緑関係の明らかな家族の家系分析から両者の遺伝は単純なメンデルの法則に従うことがわかった. アルコ-ル経口投与実験から得られる各被験者のアルコ-ル代謝能とADH2,ALDH2の各遺伝子型との関係を調べた.ADH2遺伝子型とアルコ-ル代謝能の間には一定の関係は見られなかったが,ALDH2^*2遺伝子を有する者では血中アセトアルデヒド濃度は高値を,エタノ-ル除去速度,β_<60>は低値を示し,ホモ接合型ではこれがより著明であった.
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