研究課題/領域番号 |
02670262
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
法医学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木村 恒二郎 九州大学, 医学部, 講師 (30153191)
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研究分担者 |
浦川 成美 九州大学, 医学部, 助手 (80232916)
今村 徹 九州大学, 医学部, 助手 (00193681)
工藤 恵子 九州大学, 医学部, 助手 (10186405)
永田 武明 九州大学, 医学部, 教授 (00078586)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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キーワード | シンナー / 体組織 / 死後変化 / 軽油 / 灯油 / ガスクロマトグラフィー / 質量分析 / oral intake / postmortem changes |
研究概要 |
1.体組織中経口シンナー成分の死後変化 ラットに標準シンナーを経口投与し、死後採取組織の定性、定量分析を塩析を用いた気化平衡法で行った。 トルエン、イソブタノール、酢酸エチルおよび酢酸エチルの代謝物であるエタノールはいずれも死後48時間を通してラット胃内容から検出された。トルエンおよびイソブタノールは、死後胃壁を通過して胸、腹腔内臓器に容易に拡散し、一方、腹腔から離れた部位、例えば大腿部へは拡散せず、頭腔内には極僅かに拡散することがわかった。大腿筋中のトルエン濃度は、死亡直後の血液中濃度と近い値を示し、死亡直後の血液中トルエン濃度を推定する上に最良の試料と考えられた。酢酸エチルは胃壁を容易に通過し、隣接臓器へ拡滴するが、臓器中では急速に分解され、検出できなくなることがわかった。 2.灯油と軽油の証明および異同鑑別 定性、定量分析は上記と同法で行き、ガスクロマトグラフィー/質量分析用カラムにはワイドボア-キャピラリーカラムを用いた。燃料暴露ラットの血液について定性分析を行ったところ両試料からは炭素数8〜10α鎖状炭化水素およびトルエン・キシレン・n-,イソプロピルベンゼン・3-,4-エチルトルエン・トリメチルベンゼン類が検出された。標準灯油暴露群はトルエンピークが著明に高く、一方標準軽油暴露群ではプソイドクメンが高いピークとして認められた。標準灯油暴露ラット血液中のトルエンおよびプソイドクメンの平均濃度は0.51および0.56μg/gであり、標準軽油暴露ラット血液中のそれらは0.40および0.90μg/gであった。トルエンに対するプソイドクメンの濃度比は、標準灯油暴露群で1.13±0.19、標準軽油暴露群で2.30±0.15であり、この濃度比算定は、灯油暴露と軽油暴露の鑑別をする上に有用であることが示された。
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