研究概要 |
1.JCRBより供給を受けたプラスミド(pHY10)からDYZ1を抽出し、非放射線DNA標識および検出キット(ベ-リンガ-)を用いてY染色体特異標識DNAを作製した。正常男女からの血液からDNAを抽出し、ドットハイブリダイゼ-ション法によって性別判定可能な最少血液量の検討を行った。その結果、男性では0.05μlまでY染色体特異DNAプロ-ブとハイブリッドすることが確認された。しかし女性では、標識DNAとはハイブリッドしなかった。 2.PCR法による性別判定を4種類のY染色体特異的領域(DYZ1、ASF(Alphoid satelite family)、TDF(testis determining factor)、Ypーmedian)のプライマ-を作製して行った。男性の血液から抽出したDNAでは、DYZ1では149ーbp、ASFでは130ーbp、TDFでは270ーbp、Ypーmedianでは239ーbpが増幅したが,女性からのDNAではこれらのYープライマ-では増幅しなかった。また、X染色体特異プライマ-では男女とも130ーbpで増幅がみられた。 3.4種類のY染色体特異プライマ-のY染色体検出感度を調べた結果、ASFとDYZ1が高かった。それらのプライマ-では10μlの唾液からでも性別判定が可能であった。 4.パラフィン包埋組織から抽出したDNAによる性別判定をASFのプライマ-を用いて行った。 1)3週間固定しパラフィン包埋した男性の組織からでもDNAを抽出することが出来、170bpに明らかに増幅が見られた。しかし、固定時間が長くなる程DNAが断片化されて増幅しない場合もあった。 2)Carnoy液および50%酢酸では170bpに明らかな増幅が見られ性別判定が可能であった。10%ホルマリンでは増幅が見られても上記の2種類の固定液に比べて増幅が弱かった。
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