研究課題/領域番号 |
02670277
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
飯田 博行 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (50126504)
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研究分担者 |
高田 正信 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (00115180)
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キーワード | 糸球体腎炎 / 増殖性腎炎 / 血小板由来成長因子 / 血小板由来成長因子リセプタ- / メサンギウム細胞増殖 / ノ-ザンブロッティング |
研究概要 |
糸球体腎炎(腎炎)における血小板由来成長因子(PDGF)とそのリセプタ-(PDGFーR)の関与を明らかにする目的で、ラット増殖性腎炎の糸球体でのPDGFとPDGFーRの遺伝子発現を分子生物学的に検討した。 方法:ウイスタ-ラットに抗メサンギウム細胞抗体である抗Thyー1抗体を静注し、メサンギウム増殖性腎炎を惹起し、1、3、5日後に屠殺した。加えて、コブラ毒因子(CVF)により低補体にしたラット、および抗血小板抗体により血小板を減少させたラットに抗Thyー1抗体を静注し、3日後に屠殺した。糸球体を単離し、総RNAを抽出、分離し、PDGF(A・B鎖)、PDGFーR(α・βサブユニット)の相補的DNAを用いて、ノ-ザンブロッティングを行った。同時に糸球体の細胞増殖を組織学的に観察した。一方、無処置の正常ラットから腎糸球体をとり対照とした。 結果、抗Thyー1抗体投与1日後にメサンギウムの融解がみられ、3および5日後に糸球体の著しい細胞増殖が認められた。一方、CVFおよび血小板抗体投与ラットでは、糸球体の細胞増殖が有意に抑えられていた。この増殖性腎炎の3および5日後において、糸球体のPDGF A鎖mRNAの発現は軽度であったが、PDGF B鎖mRNAが著明に発現していた。糸球体のPDGFーRでは、αサブユニットmRNAの発現はみられなかったが、βサブユニットmRNAが、3および5日後に著明に発現していた。一方、低補体および血小板減少ラットでは、PDGF(A・B鎖)mRNAとPDGFーR(βサブユニット)mRNAの発現はいずれも有意に抑制されていた。 まとめ:以上の成績より、増殖性腎炎の糸球体におけるPDGFとPDGFーRの遺伝子発現が細胞増殖と密接に関連することが示された。また、補体と血小板が糸球体の細胞増殖とPDGFおよびPDGFーRの遺伝子発現に関与していることが示唆された。
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