研究概要 |
慢性関節リウマチの関節破壊における滑膜間葉系細胞の役割りを明らかにする目的で,間葉系細胞に強く発現されるcーfos遺伝子をトランスジェニックマウス或いはトランスフェクション法により導入発現させた場合の関節破壊を検討した。 【結果1】Hー2遺伝子プロモ-タ-の下流にマウスcーfos遺伝子を組み換えて発現させたC57/BLトランスジェニックマウスにおいて,Antigenーinduced Arthritisの系でリンパ球の関節局所への浸潤なくして,強い間節破壊が惹起された。このマウスは感作抗原に対するIgG抗体が欠如するにかかわらず,高値のIgMリウマチ因子を産生した。 【結果2】このマウスの関節滑膜細胞はcーfos遺伝子を強く発現しており,in vitroで軟骨と反応させると軟骨基質内に強く侵入した。 【結果3】ヒトRAの滑膜細胞にMuLV支配下にヒトcーfos遺伝子をトランスフェクトすると,cーfos遺伝子の発現により滑膜細胞は樹状細胞を経てフィブロブラスト型細胞へと変換しながら強く増殖し,軟骨基質上において細胞コロニ-を多く形成した。 【結果4】RA組織において抗cーfos抗体により免疫組織化学的に対照(OA)に比して多量のcーfos蛋白が同定された。この分布とコラゲナ-ゼ,ストロムリシン等の分布と一致していた。以上の事から,RAの関節においてcーfos遺伝子が実際強く発現されており,そのcーfos遺伝子の活性化は関節滑膜の間葉系細胞の活性化を介して強い関節破壊を起し得る事が判明した。
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