研究概要 |
1.抗HTLVーI抗体腸性関節炎患者からの滑液及び滑膜細胞のHTLVーI感染の有無。慢性関節リウマチ患者中抗HTLVーI腸性者は25.4%で長崎市内の40歳以上成人抗体腸性率(11%)に比較し有意に高く,臨床的にも特徴が認められた。滑膜細胞のHTLVーI感染はウイルス抗原に対するモノクロナ-ル抗体(Gin14)に反応する滑膜細胞が検出され,確認のためin situ hybridizationで検討している。 2.抗HTLVーI抗体陽性関節炎患者滑液からのHTLVーI感染T細胞株の樹立とその機能解析。関節炎患者滑液リンパ球からHTLVーI感染T細胞を樹立した。このT細胞から抽出したDNAでATL由来のHTLVーI遺伝子クロ-ンをプロ-ブとしてsouthern blot hybridizationを行った。滑液T細胞由来HTLVーIプロウイルスDNAはATLやHAM由来のプロウイルスDNAと非常に類似性の高い構造を有していた。このT細胞株は腫瘍壊死因子やインタ-ロイキン6を産生し,helperT細胞機能を有していた。 3.HTLVーIが血管内皮細胞や滑膜細胞に感染するのか?感染した細胞の機能は変化するのか?HTLVーI感染T細胞株と血管内皮細胞や滑膜細胞と培養すると,血管内皮細胞や滑膜細胞は増殖する。増殖機構を解明するため,HTLVーI tax遺伝子を細胞にトランスフェクションして解析中である。 4.抗HTLVーI抗体陽性関節炎患者の抗HTLVーI抗体の抗原認識部位について。HTLVーI envelope蛋白中のimmunodominant siteをコンピュ-タ-・アルゴリズムで推定し,ペプタイドを7種類合成した。抗HTLVーI抗体陽性関節炎患者血清はE1,E2,E8に反応した。HAMやATL患者血清もE1,E2,E8に反応し,HAM患者血清のみE9にも反応することができた。
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