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1990 年度 実績報告書

T細胞の選択的血管外遊走における細胞接着分子の役割と自己免疫疾患発症機序への関与

研究課題

研究課題/領域番号 02670287
研究機関自治医科大学

研究代表者

狩野 庄吾  自治医科大学, 医学部, 教授 (00049024)

キーワードT細胞 / 血管内皮細胞 / 接着分子 / 自己免疫疾患 / リンパ球遊走 / VLA
研究概要

1.ヒト末梢血T細胞の血管外遊走をin vitroで測定する実験系を確立した。ヒト臍帶静脈由来の血管内皮細胞をコラ-ゲンゲル表面に単層培養し、末梢血T細胞分画を添加してさらに4時間培養した後、血管内皮細胞に接着したT細胞、コラ-ゲンゲル内に遊走したT細胞を回収した。接着T細胞は全添加T細胞の14%、遊走T細胞は全添加T細胞の1.5%であり、血管内皮細胞へのT細胞の接着および血管外遊走に選択性があることを示唆した。
2.末梢血T細胞および接着T細胞のILー2レセプタ-発現は5%以下であったが、遊走T細胞のILー2レセプタ-発現は増強しており、発現率は22%であった。
3.細胞外のマトリックスに対するレセプタ-であるVLA2、VLA3の発現率は末梢血未刺激T細胞はそれぞれ平均3%、6.8%と低いが、遊走T細胞の約半数にVLA2、VLA3発現がみられた。VLA発現増強には抗原刺激後数週間を要するとされ、in vitro培養中の数時間で遊走T細胞にVLA2、VLA3の発現が誘導されたとは考え難く、生体内で既に刺激を受けて活性化されたT細胞が選択的に血管外へ遊走する可能性が示唆された。
4.CD26はコラ-ゲンに対するレセプタ-で、T細胞の活性化により発現が増強する。CD26の発現も遊走T細胞で増強していた。
5.遊走T細胞の60〜85%はCD4^+CD29^+CD45RO^+のメモリ-インデュ-サ-T細胞タイプの表面形質を示した。これは、自己免疫疾患の初期病変で血管周囲に集積するT細胞の表面マ-カ-の特徴と一致していた。
6.代表的な接着分子であるLFAー1およびVLAに対するモノクロ-ナル抗体を用いた阻止実験では、抗LFAー1抗体でT細胞を前処理するとT細胞の血管内皮細胞への接着および遊走を阻止した。抗VLAβ1抗体の前処理では、T細胞の接着を増強したが、遊走は阻止した。
以上の実験からT細胞の内皮細胞への接着および遊走には選択性があり、接着分子が関与することが示された。

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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