研究課題/領域番号 |
02670293
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
林 茂樹 東京大学, 医学部(病), 助手 (20092299)
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研究分担者 |
大野 明彦 東京大学, 医学部(病), 医員 (30223902)
持田 智 東京大学, 医学部(病), 医員 (20219968)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | 肝再生 / 肝障害 / 肝マクロファ-ジ / NBT肝潅流法 / 肝部分切除 / C.parvum / HGF / サイトカイン |
研究概要 |
ラット部分切除肝における肝マクロファ-ジ(Mφ)機能とその肝障害及び肝再生への関与を検討し以下の成績が得られた。 (1)部分切除肝のMφ機能をNBT肝潅流法によりin situで検討したところ,これらは術後24ー72時間で各種サイトカイン産生能が亢進したprimed stageまで活性化していた。(2)部分切除肝Mφの活性化が流酸ポリミキシンBによる腸内殺菌で抑制されることから、腸管内グラム陰性桿菌に由来する物質の負荷増大がその活性化の原因であると推定された。(3)部分切除肝MφはC.parvum死菌投与肝Mφと同様に、少量のエンドトキシンを投与した際の肝類洞内凝固を介する広汎肝壊死の原因となることを証明した。しかし、その肝類洞内凝固成立機序は異なり、死菌投与後肝障害では肝Mφの産生する活性酸素やTNFαが直接類洞内皮細胞を破綻し類洞内凝固を惹起するにの対して、肝切除後肝障害では類洞内皮細胞は機能的に障害され、その破綻は類洞内凝固の結果であると考えられた。部分切除肝Mφの放出する肝類洞内凝固惹起因子としてtissue factorを想定し、現在、検討中である。(4)硫酸ポリミキシンB投与や高分子多糖体であるアラビアゴムを前投与して肝Mφの活性化を抑制すると、肝部分切除28時間後の肝細胞におけるmitotic indexは低下したことから、肝Mφが肝再生を調節していると推定された。しかし、肝Mφにおいても産生する再生促進因子であるHGFをヒト肝切除症例の血中で測定したが、肝再生率との関係は認められなかった。現在、抗ラットHGF抗体を作成することにより、肝再生における肝Mφ由来HGFの関与を検討中である。 以上の成績から、部分切除肝ではMφは活性化され肝再生を調節しているが、一方では肝障害進体などの成立にも関与していると推定された。
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