研究概要 |
これまで私達はラット初代培養肝細胞における肝機能を測定することにより、高度に分化した肝機能の発現は細胞密度差による細胞接着に依在することを報告している。肝汁酸の分泌と吸収も肝特異機能の一つであり、ジマソイド面から微小胆管腔へと極性に従って輸送される。また、この極性は肝細胞膜の形態的分極(ポラリティ-)に依存して分布する胆汁酸輸送蛋白質によって維持されている。そこで、ラット肝細胞膜から膜蛋白質を抽出し、セファデックスGー150カラムにより精製すると、分子量95kD、60kDおよび45kDの蛋白質は標識タウロコ-ル酸に結合し、そのkd値はそれぞれ25μM,120μMおよび40μMであるのに対し、標識コ-ル酸に対しては20μM,100μMおよび32μMとやや異なる値を示した。現在、cholylglycylーtyrosineをヨウ素標識化して、これら膜蛋白質をさらに精製するとともに、細胞密度差により培養した肝細胞の微小胆管再生部位にこれら標識胆汁酸が結合するかどうかを検討中である。一方、分離肝細胞からの微小胆管形成は、デキサメタゾンあるいはT_3処理12時間後、〔^3H〕ロイシンを含むWE培養液中で2時間のパルスラベルを行った。その後、肝細胞を破壊した上清液に抗AlP IgG抗体を加え、免疫複合物をSDSーPAGEにかけると、培養肝細胞から得た蛋白質合成活性はRNA量に一致した。また、この時の蛋白質合成活性は添加RNA量に依存し、10μgのRNA量で最大になった。同様にアルカリホスファタ-ゼ合成能も全蛋白質合成活性と並行して、10μgのRNAで最大になることが認められた。 現在、ポリゾ-ム免疫沈降法により精製したAlPmRNA(5μg)を用いてRNA依存性DNAポリメラ-ゼ(逆転写酵素)とDNAポリメラ-ゼKlegnowフラグメントによりそれぞれ二本鎖cDNAを調製中である。
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