研究概要 |
我々は原発性胆汁性肝硬変(PBC)の動物モデルを作成し、その発症機序につき過去2年間検討してきた。本年度は以下の点につき検討し、一部のものは現在続行中である。 1)モデルマウスにおける対応抗原の同定 胸腺摘出マウスにブタの胆管上皮細胞を免疫することで、PBC類似病変を作成した。免疫した胆管上皮細胞のどの抗原に対して個体が反応しているかを検討した。すなわち、胆管上皮細胞をホモジェナイズした超遠沈上清をSDS-PAGEで電気泳動し、western blot法で病変を認めたマウスの血清中の抗体を調べた。その結果、88,76,37,30,21kDの蛋白に対する抗体が証明され、病変マウスは免疫された胆管上皮細胞の蛋白に対して免疫反応を惹起していると考えられた。これらのうちどれが病変の惹起と関係しているかについて現在検討中である。 2)長期抗原刺激の影響 胸腺摘出マウスに8週間胆管細胞を免疫するとPBC類似胆管病変が出現するが、さらに長期に免疫した場合病変が進展するか否かを検討した。5匹のマウスに胆管抗原を6カ月免疫したところ胆管病変は継続して観察された。しかし胆管消失や胆汁うっ滞を来すまでにはいたらなかった。 3)抗ミトコンドリア抗体(AMA)の解折 胆管抗原を免疫した群においてAMAが出現するが、これがpyruvate de hydrogenase(PDH)に対する抗体であるか否かをPDHに対するELISA法およびSDS-PAGE,western blottingにて確認した。その結果、PDHの68,52,47kDの蛋白に対する抗体であることが確認され、ヒトのPBCで認められるM2抗体と一致していた。
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