研究概要 |
マロリ-体が強いユ-ビキチン化(UQ化)を受けていることは免疫螢光染色で判明した。そして 免疫電顕によりUQ化はマロリ-体を形成しているフィラメント全てに顕著であり,マロリ-体周囲の肝細胞中間径フィラメント(IF)にも顕著であった。1FのUQ化がマロリ-体形成の原因か結果かは現時点では断定しがたい。 現在.ヒトの肝癌症例でマロリ-体形成のあるものを対象に.ユ-ビキチン抗体(マウスIgM抗ユビキチン抗体),抗サイトケラチン状体(ペプチド7とペプチド18)と多機能酵素蛋白であるプロテアソ-ムに対する抗プロテアソ-ム抗体(徳島大学,酵素病理部門,田中啓二博士より供与)を用いて検討中である。その結果 マロリ-体形成のある肝癌細胞でも細胞質にサイトケラチンは明瞭に染色されるが、マロリ-体非形成細胞に比し 分布がやや不均一であった。プロテアソ-ムは、田中らの研究から,細胞が癌化すると,細胞質から核へと染色性が変化することが判明している。我々の研究でも 肝癌細胞の核にはプロテアソ-ムが強く染色された(酵素抗体法)。アルコ-ル性肝障害例でプロテアソ-ムを研究中であるが,肝障害の明らかな例では,肝癌細胞と同様に核にプロテアソ-ムが強く染色されることが多いことが判明した。このような現象が.アルコ-ル性肝障害における肝細胞の変性・壊死と関連しているのか.アルコ-ルあるいはその代謝産物と関連しているのか検討中である。プロテアソ-ムの免疫電顕での検討は未だ施行していない。
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