研究課題/領域番号 |
02670317
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
福井 博 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (80145838)
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研究分担者 |
松村 雅彦 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (20145840)
辻井 正 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30075064)
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キーワード | エンドトキシン / 抗リピッドA / 肝硬変 / 急性相反応物質 / アルブミン |
研究概要 |
平成2年度には多数の肝疾患患者血漿中のエンドトキシン濃度をわれわれの改良法で測定した結果、肝硬変とりわけ重症例では過塩素酸処理沈殿中に高濃度のエンドトキシン活性が存在することを明らかにし、成績の一部を報告した(肝臓31(5):536ー542)。臨床症状との関係では消化管出血例、有熱例でエンドトキシンが有意に高値を示すことを見いだし(第87回日本内科学会講演会発表)、さらに血中エンドトキシン不活性化能とエンドトキシン結合蛋白との関係についてはエンドトキシン不活性化能がHDLと正の相関、抗リピッドAと負の相関関係にあることを見いだし報告した(第25回日本肝臓学会西部会)。さらに肝硬変食道静脈瘤出血例で経過を追ってエンドトキシンを測定すると当初過塩素酸処理上清中につづいて沈殿中にエンドトキシンが増加し、沈殿中のエンドトキシン増加にともなって種々の急性相反応物質の血中濃度が増減することを認めている。また、エンドトキシン不活性化能についてはとくにアルブミンについて研究を進め、アルブミンに強いエンドトキシン不活性化能があることを希釈加熱法ならびに過塩素酸処理法の両エンドトキシン抽出法で確めた。さらに血中エンドトキシンの存在様式と不活性化機構を知る目的でSalmonella anatum A1 epiを用いてH^3ーエンドトキシンを作製し、とくにアルブミンおよび急性相反応物質のエンドトキシン結合能を検討したところ、肝硬変においてはこれらが重要なエンドトキシン結合蛋白として働くとともに不活性化にかかわっている可能性が示唆された。また、アルコ-ル性肝障害におけるエンドトキシン血症の意義を明らかにする目的でアルコ-ル投与ラットにH^3ーエンドトキシンを静注したところアルコ-ル投与時には、エンドトキシンの肝への集積が減少し、脾への集積が増加する傾向を認めた。以上、エンドトキシン血症の病態生理を中心に研究を進めてきている。
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