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1990 年度 実績報告書

重症型アルコ-ル性肝障害の発生機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 02670331
研究機関産業医科大学

研究代表者

荒井 正夫  産業医科大学, 医学部, 助教授 (80175182)

研究分担者 奥野 府夫  産業医科大学, 医療短期大学, 教授 (40101985)
キーワード重症アルコ-ル性肝障害 / エンドトキシン / 腫瘍壊死因子 / マクロファ-ジ
研究概要

重症アルコ-ル性肝障害では禁酒にもかかわらず多臓器不全を併発し,不幸な転帰をとることがある。しかし、その発生機序に染しては不明な点が多い。我々が概に報告した如く,慢性アルコ-ル摂取ラットに少量のエンドトキシン(ET)を投与すると,重症アルコ-ル性肝障害類似の病変を作製することができ,肝微小循環動態や凝固線溶動態との関連で検討してきた。今回,腫瘍壊死因子(TNF)との関連について検索した。
ウィスタ-系雄性ラットにLieberーDeCarli液体飼料を6週間投し,慢性アルコ-ル摂取ラット(脂肪肝)と対照群を作製した。Overnight fastingの後,2mg/kg体重のET(E.Coli026:B6)を尾静脈より静流した。1時間後と3時間に〓肝静脈より採血し,ET非処置群と比較した。血中TNF測定はL928cell bioassay(Flick,DA,1984)によりおこない,血中GOT活性は日立736型自動分析機にて測定した。さらに,肝臓の組織学的検索をおこなった。血中TNFはET非処置群では検出不能であった。ET投与により対照群では1時間値18.3±5.3(mean±SEM)IU/ml,3時間値4.4±0.5であったが,慢性アルコ-ル摂取群ではそれぞれ58.3±11.1(p<0.05),44.9±11.3(p<0.05)であり,長時間にわたり高値を示した。血中GOT活性は対照群でET投与により3時間後3.7倍に増加したが,慢性アルコ-ル摂取群では5.4倍に増加とより高値を示した(p<0.05)。また,肝臓の組織学的検索〓ても3時間後には慢アルコ-ル摂取群でより強い炎症性細胞の浸潤とともに肝細胞壊死の出現をみた。以上より,ETにより慢性アルコ-ル摂取後ではTNF産生がより強く惹起されるとともに,血中濃度もより高値が持続され,これらが肝障害の進展に関与している可能性が考えられ,アルコ-ル性肝障害の重要化にTNFが重症な役割を演じていることが推察された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 荒井 正夫: "アルコ-ル性肝障害の重症化へのTNFの病因的役割" 日本消化器病学会雑誌.

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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