研究概要 |
CCKの分泌制御機構を明らかにするために、CCK分泌刺激物質であると考えられるCCKーRPの精製を試み、さらにCCKーRPの生理作用を検討した。ラット小腸粘膜からのCCKーRPの抽出は300ー350g雄性Wistar系ラットの小腸を幽門から20cmのところで切断し、内腔を洗浄後、縦方向に切開し、腸粘膜をかきとってあつめ、約100gを一回分とした。腸粘膜1gあたり1mlの1N酢酸を加え、10分間煮沸後、ホモジナイズし15,000rpmで30分遠心する。上澄みをSephadex Gー50カラムを用い、1N酢酸溶液で溶出し、膵外分泌刺激作用を下記にのべるbioassayで調べ、活性を有する分画をHPLCでさらに分離精製した。HPLCでは、Cosmosil Cー18カラムを用い、10ー60%アセトニトリル平衡濃度勾配による逆相HPLCで分離した。生物活性は300ー340gのWistarー雄性ラットに膵液胆汁外瘻を作成し、手術後4日目に覚醒状態で実験した。生物活性を有する分画はトリプシンインヒビタ-活性を認めず、熱抵抗性で、またPSTIー61とも別の場所に溶出された。そしてその生物活性は1mg/mlのtrypinで30分間incubateすると消失した。精製した分画をアミノ酸自動分析にかけたが不成功に終わったのでさらに条件をかえてHPLCで精製を行なった結果、再現性の高い9つのピ-クがえられ、現在これらの活性を検討中である。現時点では、CCKーRPの完全な精製が終了していない状態なので、前述の部分精製したサンプルを用いてその生物活性を検討した。部分精製CCKーRP2μg/ml/minの生物活性は、2μg/ml/minのPSTIー61の注入時の反応と殆ど同じであった。さらにラット胆汁中の主成分であるタウロコ-ル酸との相互作用を、覚醒ラットを用いて検討したが、いずれも非生理的な高濃度のタウロコ-ル酸が存在すると膵外分泌、CCK分泌刺激作用が弱いか消失した。
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