研究課題/領域番号 |
02670334
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
本宮 雅吉 東北大学, 抗酸菌病研究所, 教授 (20006092)
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研究分担者 |
阿部 達也 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (70222651)
佐藤 研 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (00215782)
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キーワード | 肺線維症 / 肺癌 / フイブロネクチン / ラミニン / ラミニンレセプタ- / 分子生物学 |
研究概要 |
1.前年度迄の研究では、肺癌症例と肺線維症症例の組織間での各種細胞接着タンパク(特にフイブロネクチン、ラミニン)に注目し、量的、質的差異を検討した。その結果、フイブロネクチンでは、低分子化した画分の増加が線維化肺で認められ、ヘパリン親和性の低い画分の増加が肺癌例で認められた。これに対し、ラミニンでは組織での発現量に遺伝子レベル、タンパクレベル何れにおいても差異を認めなかった。肺胞洗浄によって得られた肺胞マクロファ-ジにおけるラミニンの発現率は、健常人の場合に比し肺線維症群で上昇していたが他の瀰慢性肺疾患例との有意差は認められなかった。 2.以上の結果から、肺線維症と肺癌の因果関係は細胞接着タンパク側からのみならず、それらに対するレセプタ-側からも検討を要すると考えられた。そこでまず、ラミニンレセプタ-のうち特異性、親和性の高い67kDaラミニンレセプタ-(以下LNR)に注目してその抗体を作成し、さらにcDNAをクロ-ニングした。抗体は既に発表されていたアミノ酸配列の一部をペプチド合成し家兎に免疫して得た。担癌患者より得られた肺胞洗浄細胞を抗LNR抗体を用いて免疫染色した結果、肺胞マクロファ-ジに比し肺癌細胞が濃染する事が分かった。肺癌細胞より得られたcDNAは最大長1.2kbで、LNRを構成する37kDaポリペプチド(37LRP)をコ-ドしていた。LNRのタンパク、mRNAレベルの発現を様々な細胞で検討したところ、肺癌細胞(時に、付着型細胞、低分化未分化癌)での高度の発現の他、肺線維症由来肺胞マクロファ-ジでの発現の昂進も認められた。 3.今後さらに症例を重ね、肺線維症と肺癌発生の関係を細胞接着タンパク及びそのレセプタ-の角度から検討する必要があると思われる。
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