研究概要 |
ハ-トレ-系雄性モルモットに,フェノバルビタ-ルおよびペントバルビタ-ルを腹腔内に投与して麻酔した。その後,気管内にカニュ-ラを挿入し,さらに塩化アルクロニウムを腹腔内に投与して筋を弛緩させた。ベンチレ-タ-を用いて強制換気し,呼吸抵抗を測定した。2,20,200ng/kgおよび2μg/kg vasoactive intestinal peptide(VIP)を静注すると,VIPの濃度に依存して呼吸抵抗のベ-スラインが低下し,200ng/kgおよび2μg/kgVIP静注により,呼吸抵抗のベ-スラインが有意に低下した。2,20,200ng/kgおよび2,20,80μg/kg peptide histidine isoleucine(PHI)を静注すると,PHIの濃度と依存して呼吸抵抗のベ-スラインが低下し,20および80μg/kg PHI静注により,呼吸抵抗のベ-スラインが有意に低下した。これらの効果をイソプレナリンの効果とモル濃度で比較すると,VIPとイソプレナリンの効果は同程度で,PHIの効果はイソプレナリンに比べて弱かった。つぎに,ヒスタミン静注による呼吸抵抗の増加に対するVIPおよびPHIの効果について検討した。モルモットに2,20,200ng/kgおよび2μg/kg VIPを静注した1分後にヒスタミンを静注すると,ヒスタミンによる呼吸抵抗の増加はVIPの濃度に依存して抑制され,200ng/kgおよび2μg/kg VIP静注により,有意の抑制がみられた。2,20,200ng/kgおよび2,20,80μg/kg PHIを静注した1分後にヒスタミンを静注すると,ヒスタミンによる呼吸抵抗の増加はPHIの濃度に依存して抑制され,20,80μg/kg PHI静注により,有意の抑制がみられた。これらの効果をイソプレナリンの効果とモル濃度で比較すると,VIP,イソプレナリン,PHIの順であった。従って,VIPおよびPHIはモルモット気道収縮反応に対し,抑制的に作用することが明らかとなった。PHIの効果は,気道拡張性ニュ-ロペプタイドであるVIPの効果に比べ,弱いことが考えられた。
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