研究概要 |
1.抗肺癌モノクロ-ナル抗体の性状 一つの抗肺癌抗体を用いて,血液細胞での抗原の発現を検討し,Natural killer細胞上に発現していること,その抗原が,抗リンパ球抗体NKHー1が認識するCD56と同一であることが判明した(平成2年度日本胸部疾患学会発表).又,この抗体の認識する抗原を精製し,そのアミノ酸配列を決定した.この抗原はNーCAMのisoformであり,肺癌癌細胞だけでなく正常組織における神経内分泌細胞においても発現されるものであった(平成2年度日本免疫学会発表).二番目の抗肺癌抗体を ^<131>Iでラベルし,ヒト腺癌,偏平上皮癌,大細胞癌の患者に投与し,抗体と癌細胞とのガンマシンチカメラで結合を見た.この結果,この抗体は,癌細胞に特異的に集積し,肺小細胞癌のみでなく,他の肺癌全てに結合することが明かとなり,臨床的有用性の可能性が示され(平成2年度日本胸部疾患学会発表),今後,この抗体の認識する抗原の材料の確保に見通しがついた. 2.抗原の精製 抗体を結合したアフィニティクロマトグラフィ-に抗原が結合することが可能になり,精製のステップが簡略になると思われる. 3.遺伝子構造の決定 肺癌細胞より,cDNAライブラリ-が作成できた.これを用いて,大腸菌からの抗原の発現を抗体で調べたが成功せず,現在COS細胞からの抗原の発現のチェックを試みる予定である.
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