1.びまん性汎細気管支炎(DPB)に著効を示すエリスロマイシン(EM)の作用機序から逆に、DPBの病因を推定する目的で、未治療DPB患者のEM使用前後の末梢血リンパ球のサブセットを検討した。その結果、未治療DPB患者では、末梢血中の活性化Tリンパ球の割合が健常人に比し増加しており、特にLeu2a^+の活性化サプレッサ-・サイトトキシックT細胞の増加が顕著であった。さらに、EM使用1ヶ月後、これらの活性化T細胞の割合は減少した。このことから、DPB患者では、何らかの免疫学的過剰反応性が存在し、EMはこれを抑制することにより効果を示している可能性が示唆された。 2、血清アデノシン・デアミナ-ゼ(ADA)活性値は、リンパ球活性化の1つの指標とも考えられることより、DPB患者においてADA値を測定した。19例のDPB患者において、11例ではADA値は正常範囲内であったが、8例(42%)においては、異常高値を示した。これらの結果はEMの使用の有無とは関係がなかった。さらに数を増やして検討する必要があるが、この結果もDPB患者における1つの免疫異常のあらわれとして重要であると考えられた。 3.家系内に明らかなDPB患者と、不全型ともいえる患者が妹姉である某家系について、HLA抗原の検討を行い、慢性副鼻腔炎をもつ者には同じ抗原が存在することを見出し、さらに調査を続行中である。 4.海外のDPB例の調査に関しては、現在、台湾の呼吸器科医師に、当該患者の有無を問い合わせ中で、今後台湾への調査行を予定している。
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