1.びまん性汎細気管支炎(DPB)に対するエリスロマイシン(EM)の作用機序の免疫学的検討 (1)末梢血活性化リンパ球に対するEMの効果 未治療のDPB患者において、EMによる治療の前後、末梢血中の活性リンパ球の比率をHLA-DRをマーカーとしてFACSにて検討した。その結果、未治療例で高値であった活性化T細胞比率はEM治療により著明に低下し、EMによる活性化リンパ球抑制の可能性が示唆された。 (2)ラット肺胞マクロファージのLTB_4産生能に対するEMの効果 EMの免疫系への作用を検討する一端として、ラット肺胞マクロファージ(PAM)のLTB_4産生能に対するEMの効果を検討した。EMは100Mg/mlの濃度で6時間の培養により、LTB_4産生を有意に抑制した。 (3)14員環系マクロライド、ロキシスロマイシンの効果 EMと同じ14員環系マクロライドであるロキシスロマイシンも、EMと同様に未治療DPBに対して著効を示した。 (4)シェーグレン症候群の末梢血活性化リンパ球へのEMの効果。 肺病変を有するシェーグレン症候群に対してEMの長期投与を行い、前後での活性化リンパ球比率を末梢血において検討した所、DPB例と同様に活性化リンパ球の低下が認められた。 2.DPB患者家族のHLA抗原の検討 同胞内にDPB患者又は副鼻腔炎(慢性)を有する患者の存在する6家系32名についてHLA抗原の検討を行った。患者以外の慢性副鼻腔炎症状を有する例は32名中13名であったが、そのすべてが、当該家系のDPB患者の有するハプロタイプと同じハプロタイプを有していた。この事実は、DPBの疾患感受性遺伝子(の一部)が、HLA抗原遺伝子の近傍に存在することを強く示唆すると考えられた。
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