研究課題/領域番号 |
02670346
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研究機関 | 独協医科大学 |
研究代表者 |
本島 新司 獨協医科大学, 医学部, 講師 (90157842)
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研究分担者 |
九嶋 敦 獨協医科大学, 医学部, 助手 (60205078)
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キーワード | β受容体 / Eosinophil peroxidase / major basic protein / eosinophil cationic protein / 肺 / S49 cell / cyclic AMP |
研究概要 |
Eosinophil peroxidase(EPO)+過酸化水素のβアドレナリン受容体ーアデニル酸シクラ-ゼ系対する影響を中心に検討した。EPOは、高好酸球症候群患者より得た好酸球より特異顆粒を集め、Sephadex Gー50およびCMーSepharoseカラムを通し精製したものを用いた。EPO活性はguaiacol oxidationにて測定し、1分間に1μmoleのguaiacolを酸化する酵素量を1単位とした。 β受容体を持つ標的細胞としてはS49mouse lymphoma cellを用いた。S49細胞をまずEPOと15分incubateし結合させた。培養液で未結合のEPOを洗浄取り除き、次に過酸化水素を加え45分incubateした。遠心後キサンチンを含む培養液に再浮遊し、10ー4Mイソプロテレノ-ルで10分刺激、細胞内に増加したcyclic AMP(CAMP)を測定した。0.1ー1単位/mlのEPOとincubateの後1、0ー3Mの過酸化水素と反応させた細胞では、細胞内CAMP増加は有意に抑制され、その程度はEPO濃度に依存性であった。EP01単位/m1+10ー3M過酸化水素の処理で、CAMP増加は対照に比べ平均91%抑制された。過酸化水素濃度が10ー4M、10ー5MでもCAMP増加は有意に抑制されたが、EPO濃度を固定した場合、その抑制は過酸化水素濃度に依存性であった。過酸化水素のみもしくはEPOのみでは抑制は認められなかった。この範囲の処理においてS49細胞上のβ受容体数には変化は認められなかったが、β受容体のイソプロテレノ-ルに対する親和性が低下した。同様の処理によりフォルスコリンによるCAMP増加も抑制されたが、この程度はイソプロテレノ-ルによるCAMP増加の抑制より軽度であった。 major basic proteinとeosinophil cationic proteinは、S49細胞のCAMP産生に影響はなかった。 EPOはβ受容体数の変化なしにβアドレナリン反応を抑制し、気管支喘息におけるβ刺激薬不応性に関与することが示唆された。
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