研究課題/領域番号 |
02670351
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
梅木 茂宣 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30176721)
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研究分担者 |
角 優 川崎医科大学, 医学部, 臨床助手 (00216491)
矢木 晋 川崎医科大学, 医学部, 講師 (60157956)
副島 林造 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10068976)
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キーワード | Compromised host / 細菌感染 / 好中球 / 殺菌 / NADPH酸化酵素 / 抗生物質 / ステロイド剤 / 加齢 |
研究概要 |
本年度の研究として、我々は細菌感染時における生体の非特異的防御能の最も重要な指標である好中球NADPH酸化酵素活性について、全細胞系で色々な宿主間の比較、細菌感染時および抗生物質治療後の変化を検討するとともに、in vitro系でハイドロコルチゾン(HC)処理した好中球の再構成系での同酵素の活性化の様式を検討した.全細胞系において、非喫煙若年健康成人(40歳未満)の本酵素平均活性は男性(n=8)の22.4n mol/10^6細胞1分に比べ、女性(n=14)で12.6(単位略)と有意に低く、女性では喫煙により23.2(n=6)と有意に上昇した.非喫煙者間の加齢による酵素活性の比較検討では、女性高齢者(70歳以上、n=6)で平均活性が25.2と有意に上昇したが、男性高齢者(n=7)では25.3と加齢による有意な上昇を認めなかった。若年成人(n=4)では細菌感染により平均活性が30.0と有意に上昇したが、高齢者(n=7)では感染時も平均活性が25.3と上昇を認めなかった。ところが、抗生物質治療後その活性が平均16.1(n=11)と有意に低下した。プレドニン(1日30mg、2〜4週間以上)長期使用後の平均酵素活性の8.4(n=6)は、使用前の同22.0に比較して著明に低下していた。in vitro系でHC(100μM 37℃、20分間)処理した好中球より細胞質画分と膜酵素画分を単離し、再構成系で本酵素と活性化した実験系では、HC処理好中球の膜酵素系の障害を認めた。以上より、非喫煙若年健康女性でNADPH酸化酵素活性が最も低く、生理的ストレスが少なく細胞環境が良いこと、および女性ホルモンの関与が考えられた。加齢だけでは生体防御能の低下の要因にはならないと考えられるが、高齢者では好中球への生理的ストレスの関与が示唆された。高齢者では感染時における好中球の反応性低下が示唆された。最後に、ステロイド剤投与患者の易感染性はステロイド剤による本酵素膜画分の障害に由来するものと考えられた。
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