研究概要 |
実験動物として小型の猿(コモン・マーモセット、体重280-350g)を用いた。8頭を用意しMPTP(1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropytidine)2mg/kgを2回皮下投与した。投与直後にはakinesiaを呈するが次第に回復し、1ヵ月後にはakinesiaは消失しchecking behaviour止まり木間の移動動作床での動作巧緻運動動作は正常となり振戦もみられなくなった。投与3ヵ月後には4頭についてHPLC(高速液体クロマトグラフィー)を用いて脳内アミンを測定した。残り4頭は観察を続け2年8ヶ月後に脳内アミンを測定した。なお動物の行動の観察にはビデオ装置による記録と赤外線装置を用いた運動量記録装置を用いた。 運動量はMPTP投与後一時的に減少するが、投与3ヵ月後には回復した。しかし投与前に比較すると低下していた。その後の運動量は個体差はあるものの観察し得た期間内での時間的な経過では有意な変化はみられなかった。脳内アミンの量は投与によりdopamine,DOPAC,HVAが1/2以下に減少していた。長期飼育群でも脳内アミンは低下していたが、短期飼育群との間に著明な変化はみられなかった。病理学的検索ではMPTP投与により黒質の細胞数は減少していたが、脳幹部の切片部位により細胞数に差がみられるため、短期飼育群と長期飼育群の間では有意の差はみられなかった。
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