研究課題/領域番号 |
02670367
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
稲村 憲治 日本医科大学, 医学部, 助手 (20151590)
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研究分担者 |
飯田 恵 日本医科大学, 医学部, 助手 (70212701)
添田 敏幸 日本医科大学, 医学部, 助手 (70154698)
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キーワード | 脳虚血 / てんかん / 神経伝達物質 / 高血糖 / 再環流障害 / 神経細胞障害 / ド-パミン / in vivo microdialysis |
研究概要 |
本研究の目的は、神経細胞障害のメカニズムを明かにすることである。近年、興奮性神経伝達物質の一つであるグルタメ-トが神経トキシンの一つであり、神経組織内への異常放出が神経障害の原因の一つである事が明らかになりつつある。虚血性神経障害の分布はグルタメ-トレセプタ-の一つNMDAレセプタ-の分布に近似している。黒質にはこのレセプタ-が少ないが高血糖虚血後では傷害される。黒質はまたてんかんで選択的に傷害される。高血糖ラットは虚血の後18ー24時間以内にてんかん発作にて死亡する。我々は、この黒質障害がてんかん発作の前に存在することを発表してきた。病理変化の詳細をも検討した。つまり、高血糖虚血中、最開通直後、5分、15分、30分、60分、90分、120分と各々の群につき、各最低5匹につき病理検索を行なった。それによると、障害像は虚血中においては、明かではなく、最開通後に障害が強くなることを発見した。また皮質、海馬、においても、最開通後障害が現れ、約60分後に障害が強く観察された。この再開通超早期においても、黒質に最も障害が強く現れ、約90分後に最大となり、120分では逆に障害が一時低下して見えた。その後黒質障害はまた増強し、組織像では、status spongiosisを呈するようになる。この組織像は、てんかんに於て見られるものと酷似している。正常血糖ではこの黒質障害が見られない。さらに、先に述べたように、障害発現に神経伝達物質の影響が考えられることから、in vivo microdialysis法を用い、虚血中及びその回復期に、脳内にプロ-ブを挿入し、そこから種々の伝達物質をモニタ-するプロジェクトを開始した、微量検値システムの関係からまずド-パミンを中心とする、アミン類を中心に現在研究を行なっている。ド-パミンはまたグルタメ-ト放出の調節因子と現在思われている。事実、予備実験では、ド-パミン代謝酵素、モノアミン酸化酵素(MAO)の特異的阻害剤、パ-ジリンを虚血前投与したラットでは障害は少なく、また高血糖群では延命率も高かった。
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