研究概要 |
1.赤血球50μlあるいは脳ホモジェネ-ト20μlに、基質として 4mM GSHを加え、さらに5mMH_2O_2を加えた後37℃で5分間インキュベ-トし、1.2M過塩素酸を加え、残存するGSHを電気化学検出器を用いた高速液体クロマトグラフィにより測定して、GSHの減少率を計算することにより、微量の赤血球と脳サンプル中のGSH・P_x活性の測定が可能となった。 2.マウスにMPTP(20mg/kg,皮下)を投与した場合、7日後の線条体内ド-パミン含有量は減少し、これまでの報告のごとくMPTPの神経毒性が確認された。一方、MPTP投与1時関後には脳各部位のGSHは減少し、GSSGは増加した。SH基をもつジメルカプロ-ルの前投与により線条体内GSHとド-パミンの減少はいずれも抑制され、またシスチアミンの前投与によってもGSHの減少は抑制された。シクロヘキセンー1ーオン(100mg/kg,腹腔内)の前投与により、GSHはさらに減少し、GSSG/GSH比は視床下部と線条体で増加した。以上のことから、SH基はMPTP投与に伴う内因性チオ-ル(GSH)の酸化を抑制すること,また内因性チオ-ルが減少している条件では視床下部と線条体はMPTPに対して感受性が高いことなどが示唆された。 3.ウシ心臓のミトコンドリア分画を用いた系で、MPTPの代謝産物であるMPP^+の添加により、アドレナリンからアドレノクロ-ムの形成が認められ、ス-パ-オキサイドの発生が示された。さらに、MPP^+の添加により、NADHー依存性マロンジアルデヒド形成も認められた。以上のことから、MPTPはその代謝産物であるMPP^+によって、ミトコンドリア内で活性酸素を生成し、脂質の過酸化をおこすことによって神経毒性を現わすことが示唆された。
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