研究課題/領域番号 |
02670383
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
内田 俊也 東京大学, 医学部・(分), 助手 (50151882)
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研究分担者 |
宮嶋 芳弘 東京大学, 医学部・(分), 医員
要 伸也 東京大学, 医学部・(分), 助手 (60224581)
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キーワード | エンドセリン / 糸球体 / 尿細管 / ラット / mRNA / PCR / 高糖(高グルコ-ス) / ダウンレギュレ-ション |
研究概要 |
1)無傷単離尿細管でのエンドセリンー1(ETー1)遺伝子発現:前年度まではMDCKなど株化細胞を用いて腎尿細管でのETー1mRNA調節機構について明かにした。しかし株化細胞の欠点は尿細管の由来については不明な点である。そこで数mmのラット無傷尿細管を実体顕徴鏡下に単離しpolymerase chain reaction(PCR)法を用いてETー1mRNA発現を調べた。PCRプロ-ブはラットプレブロETー1の遺伝子地図を参考にイントロンを隔てた5'側と3'側に存在する長さ20bpのヌクレオチドを合成した。PCR反応は30回施行した。その結果ETー1mRNAは糸球体、皮質集合管、髄質外層集合管、髄質内層集合管に認められた。興味あることにこの局在は、ETー1受容体の局在と全く一致しており、ETー1は腎尿細管でオ-トクリン機構で作用していることを示唆している。 2)in vivoの腎疾患動物モデルでのETー1の役割:急性腎不全やサイクロスポリン腎障害などで血中ETー1レベルが上昇するとの報告があるが、腎疾患でのETー1の役割についてはいまだ不明な点が多い。そこで糖尿病性腎症とETー1の関係を検討する目的で、ストレプトゾトシン糖尿病腎でのETー1mRNAの変化についてノ-ザンブロット法で定量した。2週後から2か月後の腎を皮質から髄質にかけて4つのスライスに分け、各切片で発現を比較したが明らかな変化は認めなかった。一方メサンギウム細胞を高糖条件で培養した後に【^<125>I】ETー1受容体結合実験をおこなった。浸透圧による影響は同濃度のマンニト-ルで補正した。50mMの高糖では結合定数(Kd)は変化しないものの、最大結合数(Bmax)は約50%減少した。ETー1は強力な血管収縮作用をもつため、メサンギウム細胞でETー1受容体のダウンレギュレ-ションは糖尿病性腎症での糸球体過剰瀘過を説明する機序の一つと考えられる。
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